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    試作品

    どもども皆様、応援コメントありがとうございます。

    >みるさん
    お久しぶりです。こちらから挨拶書き込みしようか迷ってたのですが、犀崎は年甲斐も無くシャイなものですいません(;^ω^)
    10年たっても犀崎は益々盛んっぽいです。レビ○ラとか、牡蠣エキスのおかげで。学生時代より元気で悶々としてしまう始末で、うん、困ったものです。おかげでこの世界へ戻ってきました。

    というわけで、以下は試作品です。
    あいかわらす少年の心理描写が重いかな?



    ~試作品~


    見覚えのあるショートボブだった。周囲の様子が気になるのだろう。たまに視線を泳がせて、でも真剣な眼差しで手にしたコミックのコマを追っている。
    都心の電気街。大きな書店のコミックコーナーの片隅。
    そこには、あられもない姿の美少年や美青年たちが表紙を飾るボーイズラブコミックが所狭しと並ぶ。
    彼女――木島楓がそんな場所にいるなんて、まったく予想外と言う他なかった。

    クラスの中では目立たない女子だった。
    容姿が悪いわけではない。むしろ目鼻立ちは整って、かなり可愛い方なのだ。けれどそれ以外は至って平凡。成績は中くらいだし、運動神経や音楽でも飛びぬけたところのない女の子だ。
    声は少し小さめで、クラスメイトの中でもあまり自己主張をしようとしない。男子の中での話題にもほとんど出てこない。

    でも、そういうところが逆に謎めいて「ちょっといいな」と赤坂健太は思っていたのだ。
    そんな彼女に、偶然、こんな場所で出会うことになるなんて。
    驚きとトキメキ。それに何か言いようのない期待と不安が健太を押し包んでいた。

    感づかれないよう息をひそめて、健太は彼女の背後へと近づいた。
    普段学校で目にする紺の制服ではない。ゴスロリとかメイド服に近い雰囲気のファッションだ。
    薄いピンクの半袖ブラウスに黒いミニのプリーツスカート。白いオーバーニーソックスとエナメルの靴が眩しい。
    この街では特に珍しくもないファッションだったけれど、普段の楓の雰囲気からはちょっとかけ離れている。
    怪しまれないよう、健太はそっと彼女の後ろを通り過ぎた。ふんわりと甘い香りが鼻腔をくすぐった。
    心臓がどくんと脈打った。
    彼女が一心不乱に読んでいるのは、女の子のような美少年を、銀髪の美少年が激しく犯している場面だ。
    (すごい……な)
    予想外にリアルに描かれた男性器と、美少年達の恍惚の表情。
    縄で縛られ、アナルを犯され、首を絞められ、それでも感じている。
    健太が隠し持っているエッチマンガとはまったく違う。それはあまりにも倒錯した世界だ。

    楓から少し離れ、健太は本棚の影に身を隠した。
    鼓動が早まっていた。
    どうしようか、どうすればいいのか。手のひらがじんわりと汗ばんでいた。
    このまま何も見なかった事にするのか。
    けれど……。

    健太の肩にかけたメッセンジャーバッグには、仕入れたばかりのエッチ漫画が忍ばせてあった。この書店の別のフロアで購入したものだ。
    ストーリーはよくあるレイプものだった。万引きしたクラスメイトを脅迫して、口止めがわりにセックスをする話。
    レイプなのに主人公の男子はやたら明るくてノリが軽い。レイプなのに女の子はやがて感じまくって中出しをせがむようになる。
    レイプというよりむしろ、それはゲームのよう。
    当然フィクションだ。現実じゃない。

    けれど……、よく考えるんだ。
    それは、絶対にあり得ない話ではないんじゃないか?
    TVの特集なんかでも、週刊誌なんかでも、そんな事件を起こした芸能人がニュースになっているじゃないか。
    当然、ニュースになるのは氷山の一角だ。
    ましてや有名人でもない一般人の話なんて、どれほどよくある話なのか。

    本棚の影に半身を隠し、健太は楓の表情をじっと観察した。
    いつもより頬が少し赤く染まっているような。黒い瞳が潤んでいるような。
    (興奮しているの……かな?)
    大人しい女子だって、そういうものを読めば当然そうなるのだ。
    木島楓だってエッチなのだ。縄で縛られて犯される事に欲情しているのだ。
    健太自身だってエロ本を読めば勃起する。それはフィクションじゃない。単なる事実だ。
    健太の下腹部が熱く蠢いた。喉をゴクリと鳴らし、唾を飲み込んだ。

    踵を返し、再び彼女の背後へと近づく。
    ショートボブのすぐ後ろで立ち止まり、周囲に聞こえないよう小声で囁いた。
    「木島さんって、そういうのが好きなんだ」
    びくりと彼女の首がすくみ、黒いショートボブがひるがえる。
    「えっ!?」
    とっさにコミックを書棚に戻し、視線を宙にさまよわせる。
    「あ、赤坂くん……」
    彼女は一歩後ずさり、口元で両手をぎゅっと握っている。周囲の客達がちらりとこちらを盗み見るのがわかった。
    健太は意を決し、彼女のブラウスの袖に軽く手をかけた。
    「木島さん、こっち」
    怪しまれないよう笑顔でそう伝えた。
    友達同士だと理解したのだろう。周囲の人たちの注目がばらけていく。
    握った手に少し力を入れると、楓は素直に歩き出した。彼女にしても周囲の注目は集めたくないのか。
    「えっと……どこ、いくの?」
    震える声で楓が訊ねた。
    健太は答えない。とにかく人目のない場所へ。
    足を速めて書店内を一気に抜けようとする。
    「あの……、赤坂くん、さっきのあれは……ね」
    言い訳をしようとする楓をさえぎり、健太は答えた。
    「大丈夫。だまっててあげるから」
    「えっ……うん」
    楓がうなづく。言い訳が通用しない立場だということ理解したのか。
    健太の鼓動が早くなっていた。
    けれど、この先どうすればいい?

    ――当然、交換条件を出すべきだろう。
    口外しないかわりに、エッチな行為をするのだ。脱がせて、触って、あんな事やこんな事もしてやるのだ。
    けれど、具体的にどう言って?
    だまっておいてあげるかわりに、パンツ見せろよ。とか?
    健太の顔がカッと熱くなった。
    バカバカしい。そんな事、言える、わけがない。
    けれど、でも、それじゃあこのチャンスを無駄にするのか???
    心臓が飛び跳ねる。書店の出口が近づいてくる。楓は無言であとをついてきている。
    振りかえって彼女の顔を見る。不安そうに見返す彼女。黒い瞳が健太の胸を射るようだった。
    下半身はさらに熱くたぎり、けれど考えはまとまらない。
    思考が堂々巡りする。
    こんな時、エロマンガの主人公ならなんて言うんだ?
    そんなの、決まってる。
    簡単な事だ。
    誰だって言える。
    そうだ。
    言ってしまえ。
    健太の唇がかすかに動いた。
    熱くなった思考が真っ白に焼ききれた。
    「木島さん、いま、あそこ濡らしちゃってるでしょ?」
    楓の体がびくりと震えた。白い首筋が真っ赤に染まっていた。


    構想 | コメント(12) | トラックバック(0)2010/02/12(金)19:14

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    2013/11/24(日)18:28| | # [ 編集]

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    2013/01/17(木)06:27| | # [ 編集]

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    2012/08/28(火)04:58| | # [ 編集]

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    2012/01/21(土)11:20| | # [ 編集]

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    2011/02/09(水)04:41| | # [ 編集]

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    2010/12/23(木)20:41| | # [ 編集]

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    2010/08/15(日)00:00| | # [ 編集]

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    2010/06/30(水)21:27| | # [ 編集]

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    2010/04/22(木)21:18| | # [ 編集]

    3度目まして

    時々思い出してはブログチェックしてましたが、半分諦めてました。
    まさか復活とは。ここ最近で一番嬉しいニュースです(大げさ?)

    2010/03/11(木)23:46| URL | UlickNormanOwen #2OPm.WFI [ 編集]

    ぜひ続きを!(笑)

    わーい、やったー! 新作だー♪

    個人的には、犀崎さんのぐるぐる葛藤する男の子の内面が好きだったりするので、
    あんまり削らないでほしいな〜と思います。
    こういう男の子のリアルな心理を書いてくれる人って、いないんですよね。
    エロってなんというか、緊迫感や緊張感あってこそ密度が増すものなので、
    この男の子の緊張こそが、この場面をエロくしてるんじゃないかと。

    そんでゴス少女にちょっとビックリしたり(笑)
    ふふふ、がんばれ少年っ(゚-゚)ノ

    2010/02/22(月)08:12| URL | みる #- [ 編集]

    いつの間に…。

    祝、再開。
    黒くなっても、通い続けた甲斐がありました。
    今日夜勤なんですがね~、寝れるかな?

    P.S
    あう~、よくよく考えたら初めましてでした(汗。ペコリ。
    できれば修学旅行の続きを…、先人たちの「せーぶは小豆に。」という格言が身にしみる毎日でした。
    うう~、久々の長文かくのは疲れる、夜勤中の36の親父にはつらい。これからも、まいぺーすでお願いします。

    2010/02/20(土)14:30| URL | nekoya_ #M3H1qjsU [ 編集]

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