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「蒼文~犀崎堂~」かもしれない。
敬司4
僕は佐倉さんのリボンをそっと引いて、妙な音が聞こえてくる美術室の扉に耳を押し当てた。
この美術室の掃除は、確か僕たちの二年C組に割り当てられていたはずだ。
けれど午前中は人手が足りなくて、午後から暇になるグループが掃除を受け持つ予定になっていたんじゃなかっただろうか。
「何の音?」
佐倉さんが長い髪をサラサラとかき上げ、僕のすぐ下で扉に耳をくっつける。
そしてすぐに、驚きに息を飲んで僕の顔を見上げた。
「シッ! 静かに」
ささやくように言って、僕は聴覚を扉のむこうに集中させた。
佐倉さんの顔が見る見るうちに真っ赤に染まる。
冷たい扉ごしに聞こえてくるのは、どうやら女の子の声のようだ。押し殺すような、何かに苦しむような、けれどどこか甘ったるい声。
素早く視線を横方向に走らせる。視線の先には美術準備室の鉄扉。
僕は無言で佐倉さんのリボンをひっぱった。美術準備室の奥には薄い扉があって、その先はこの美術室につながっているのだ。
僕たちは素早く廊下を移動し、準備室の扉にそっと手をかけた。
佐倉さんは僕の動きをじっと見守っている。どうやらトイレはまだしばらく我慢できるらしい。
鍵はかかっていなかった。
音をたてないよう慎重に扉を開け、僕たちは美術準備室へと滑り込んだ。
後ろ手にゆっくりと扉を閉める。
準備室の大掃除はすでに終わったものらしい。室の奥の窓は綺麗に磨き上げられ、かび臭かったはずの空気には洗剤の香りがまじっていた。
足音を忍ばせ、息を殺し、目的の扉へと向かう。
窓の外から姿を見られないよう背をかがめ、薄い扉のすぐ横、クリーム色の壁に並んで身を貼りつけた。
美術室からの声は、さっきよりずいぶんはっきりと聞こえるようになっていた。
もう疑いようもなかった。必死に我慢しているようだったけれど、女の子のその声はどう考えてもエッチな喘ぎ声だ。
視線を扉にむけた。
扉には四角い覗き窓がついていて、そこからなら美術室の中が十分に見渡せそうだった。
僕はじりじりと頭を移動させる。
佐倉さんは心配そうにそんな僕の様子を見守っている。
静かに息を吸い込み、覗き窓の隅から向こうを覗いてみた。
床に据え付けられた机と椅子の列。壁には卒業生制作の木彫りの彫刻と、去年の秋に行われたポスターコンクールの入選作品。黒板には雑巾で拭いたあとが黒光りしている。どうやら美術室のほうも掃除は大部分済んでいるようだった。
壁に立てかけられた掃除道具。綺麗に磨き上げられた窓ガラス。その横のカーテン――不自然に膨らんでいる?
と、そのとき。
カーテンがふわりとなびき、その影に見知った顔が二つ見えた。
モテモテ野郎のスギモトとクラス一の美人で名高い水原さん。午前中は音楽室を掃除していた二人の火照った顔だった。
二人が動いたせいだろう。カーテンがさらにめくれ、僕の胸を衝撃が駆け抜ける。
二人は制服のままでしっかりと抱き合い、唇を深く重ねていた。
ディープキスだ。
スギモトが水原さんの舌を吸っている。水原さんは頬を赤く染め、瞳を閉じて、スギモトのなすがままになっている。
スギモトの手をみると、片手で水原さんのショートヘアーを撫でながら、もう片方の手は彼女のスカートの中へ潜りこませていた。
水原さんのスラリとした足が微かに震えている。合わせた唇から小さな喘ぎが漏れている。
僕は佐倉さんの肩をたたき、扉の向こうを見るように促した。
佐倉さんはそっと覗き窓に顔を寄せ、中の様子を確認すると大きく目を見はった。すぐに僕のほうをチラリと見て、またすぐに美術室の二人に目をむける。
いくら真面目だとはいっても佐倉さんだって僕と同じ中学生なのだ。エッチやセックスということに少しくらいの興味を持っていてもおかしくはない。彼女の頬は真っ赤に染まって、その視線はスギモトと水原さんの行為に釘付けになっている。
その様子は、けれど不思議な感慨とも言うべき疑問を僕にもたらした。
本当に――佐倉さんでもエッチな事を考えたりするのだろうか――?
その答えはもちろん考えてみるまでもない。常識的に見れば、彼女のように健康な中学二年生がエッチに興味がないほうがおかしい。
けれど、それでも、佐倉さんのように清純で真面目な子でも、エッチな事に興味があったりすのか?
それじゃあ彼女も誰かにキスされたいと思ったり、セックスしたいと思うことがあったりするのか?
その瞬間のことを想像してしまってオナニーなんかすることもあるのか?
あそこを触られたりしたら、水原さんのように、あのハ長調のミの音で喘いだりするんだろうか?
考えるだけで僕の股間はズキズキと熱く脈打ってしまう。頭の中には佐倉さんのエッチな姿が自然と浮かんでしまう。
僕はまた顔を覗き窓につけ、キスをつづけるスギモトと水原さんを見守った。
水原さんのスカートの中でスギモトの手がもぞもぞと動いている。その動きは徐々に下方向に移動し、やがてスカートの中から白い下着が現れた。スギモトは彼女の下着を膝のあいだにまでずり下げて、また手をスカートの中に戻す。
唾を飲み込む音が聞こえた。佐倉さんの喉からだった。
僕の頬を彼女の髪がふわりとこそぐっている。甘い香りが漂っている。僕の顔のすぐ横に彼女の整った顔がある。
扉の向こうの二人のことだけでも股間が固くなって大変なのに、こんなに佐倉さんが近くにいるなんて、頭も心臓もペニスも、僕のすべては今にすぐにでも爆発してしまいそうに高ぶってしまっている。
横目で佐倉さんの様子をさぐる。彼女は息を飲み、絡み合うスギモトたちをじっと見つめている。
ほんのり染まった彼女の白い肌。かわいい鼻。長い睫毛。大きな黒い瞳。
柔らかそうなピンクの唇と首に巻かれた白いリボン。
僕の脳みそがまたジンジン痺れはじめる。勃起したペニスもジンジン痺れ、先端からはたぶん透明な液が漏れだしている。
と、その視線に気づいたのだろう。佐倉さんが深い闇色の瞳でこちらを見た。
僕もつられるように彼女の瞳を覗きこむ。
彼女の瞳は永久磁石だ。一度捕らえられると二度と逃げることのできない強力な永久磁石だ。
僕の視線が、心が、体全体が、彼女の瞳に引き込まれていく。
「笹原……くん?」
佐倉さんが唇を開いて、小さなミの音で言う。耳の奥に、心の底に、その音は軽やかに染みいっていく。
ピンクの唇。柔らかそうな唇。綺麗に光って、少し濡れている。
水原さんはスギモトに舌を吸われている。脱がされた下着の奥を奴に愛撫されている。
「さ、佐倉さん……」
かすれた声を喉の奥から絞り出した。
彼女の頬は他人のエッチを見てしまったせいか仄かな桃色に染まり、瞳はウルウルと潤んでいる。潤んだ瞳に僕の姿が映っている。
高ぶる胸をおさえつけ、そっとリボンをひっぱった。
佐倉さんがその反動で軽く首をそらせる。彼女の唇がうっすらと開き、その奥にピンクの舌が見えている。
僕と佐倉さんの視線は絡まりつづける。彼女からは甘く爽やかな香りが漂っている。
扉のむこうからは水原さんの小さな喘ぎ声。深いキスをつづける二人。スギモトは彼女の口に唾液を流し込んでいるようだ。
勃起しつづける下半身。僕の思考が深い霧に包まれていく。
「佐倉さん……目を閉じて」
かすれた声で彼女に命令した。けれどその声も、なんだかもう自分のものではないような気がした。
佐倉さんの大きな瞳も霞がかかったように焦点が合っていない。長い睫毛が震えている。ゆっくりと瞼が下りていく。
いつしか僕の唇も薄く開いていた。気づいたときには、彼女の唇は僕の唇のすぐ前にまで迫っていた。
あと二センチ。一センチ。五ミリ……。
頭の芯が溶けていく。
唇が軽く触れ合った。柔らかな感触。少し濡れた感触。
脳みそが熱く震え、体全体が熱く震え、甘い衝撃に僕はそっと唇を引いた。
佐倉さんの唇にキスしてしまった――。
そう思うだけで強ばったペニスは大きく震え、快感が体をかけのぼった。
思考にかかった霧はさらにその濃さを増していく。
「……佐倉さん」
名を呼ぶ。彼女はおずおずと瞳を開き、またすぐにそっと瞼を閉じて答えた。
緊張が霧に飲み込まれる。
彼女をもっとよく感じるため、唇を舌で湿らた。
もう一度キス。濡れた唇を軽くあわせて、すぐに離す。
スギモトと水原さんはあんなに深いキスをしているというのに、佐倉さんを手荒く扱うことなんて僕にはできない。けれど……。
佐倉さんの唇はうっすらと開いたままで、その奥のかわいい舌が僕を狂わせる。
またキス。こんどはもう少し長く。合わせた唇から彼女の体温を確かめる。
「ん、ふっ……」
佐倉さんが甘い吐息を漏らす。扉のむこうからは水原さんの押し殺した声が聞こえる。それにつづいてスギモトのせっぱ詰まった声。
佐倉さんにそっとキスをつづけながら、横目で美術室の二人の様子を探った。目を疑った。スギモトは制服のズボンから勃起したペニスを取り出していた。水原さんは快感に頬を赤く染め、床に立て膝をついている。
そんな、まさか……。
そう思ったのも束の間、大きな目をトロンと潤ませた水原さんはスギモトのペニスを綺麗な唇に含んだ。スギモトが彼女のショートヘアーを両手で抱え、快感に歯を食いしばって耐えている。
唇をそっと触れあわせたまま、佐倉さんに囁いた。
「あれ……見て」
「えっ……!?」
佐倉さんが短い驚きの声を漏らす。目を大きく見はって唇を震わせる。
僕はそんな彼女の腰に手をまわし、そっと唇を吸った。
「んっ……」
甘い声。甘い香り。とても甘い佐倉さん。
もう、これ以上はとても我慢できない。
舌を出して彼女の唇に触れた。佐倉さんは嫌がったりしなかった。
柔らかな唇を左右に舐めてみた。すぐに物足りなくなって彼女の中へと差し入れた。
彼女の舌をとらえ、壊れ物を扱うように優しく舌を絡めた。
制服の下で柔らかな体が震えた。潤んだ瞳が閉ざされていく。
ねっとりと舌を絡めた。二人ぶんの唾液を彼女の中で混ぜ合わせた。
「う、ぁ……」
佐倉さんが僕のキスに喘ぐ。
それじゃあ、真面目な佐倉さんでも、こんなにエッチなディープキスをして、気持ちよさそうな声を漏らしたりするんだ――。
下半身は熱く疼きつづけている。
深く舌を絡めながら、僕は溢れる唾液を次々と佐倉さんの中に送り込んだ。
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Author:犀崎大洋
ひっそりと再始動したかも。
人畜無害なエロ小説書きです。